これはよく聞く話ですが、私の結論は「会社で禁止されていても、うまくやりましょう」です。
今の時代、終身雇用制度が崩れ、年金制度にも不透明になっている世の中です。極論、会社は自分の人生に責任をとってくれません。会社に迷惑をかけず、自己責任で自分の稼ぎを増やしてリスクをヘッジすべきだと考えます。
法律では副業、兼業は禁止されていない
副業とは、本業以外に従事している仕事をし収入を得ている事を指しますが、日本国憲法22条では「職業選択の自由」を保障しており、副業を禁止する法律はありません。
日本国憲法第22条
・何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
・何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。
※ただし、公務員の副業は禁止されています。
政府は副業解禁の流れ
政府は副業・兼業を推進する動きを見せており、2018年1月には厚生労働省が「モデル就業規則」を改訂し、「許可なく他の会社などの業務に従事しないこと」の文言を削除しています。
モデル就業規則では、副業に関して「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる」という規定を新たに設け、企業の副業解禁の動きが本格化しています。
政府は人口減による労働力の減少を、副業を推進することで補おうとしているという事ですね。
第14章 副業・兼業
(副業・兼業)
第67条 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。
2 労働者は、前項の業務に従事するにあたっては、事前に、会社に所定の届出を行うものとする。
3 第1項の業務に従事することにより、次の各号のいずれかに該当する場合には、会社は、これを禁止又は制限することができる。
① 労務提供上の支障がある場合
② 企業秘密が漏洩する場合
③ 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
④ 競業により、企業の利益を害する場合
副業を禁止している企業の考え
副業を禁止している企業は、上記の①~④をリスクと考えている傾向があります。
① 労務提供上の支障がある場合
副業をすると長時間労働や過重労働が生じやすくなり、従業員が疲労のため事故を起こしたり、健康を損ねたりしやすいからです。企業には「安全配慮義務」(労働基準法第5条)があり、従業員の安全や健康を守らなければなりませんが、就業時間外に行っている副業の状況を把握して配慮するのは困難です。
例えば、過労により身体やメンタルに不調をきたした場合、労災適用の可否を判断する際にもめる可能性があります。
また、会社の業務時間中にも副業を行ってしまうようなことがある場合、職務専念義務違反に抵触する可能性があります。
② 企業秘密が漏洩する場合
会社で業務を行う上では様々な企業秘密に接します。その知りえた情報を、故意でなかったとしても、副業を通じて本業の業務データや顧客情報、技術情報などの機密情報が漏れてしまう可能性があります。
③ 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
副業が原因で会社のブランドや信用が損なわれたり、同業他社に情報が流出したりした場合は会社にとって大きな損失となってしまう可能性があります。
④ 競業により、企業の利益を害する場合
本業の会社の同業他社で副業を行ったり、副業で競合する可能性のある会社を設立したりすることは本業の会社の利益の侵害につながる可能性があります。これは競業避止義務違反とみなされる場合があります。
副業、兼業を考えている個人がとるべき戦略
副業、兼業を考えている個人は、上記の①~④に抵触しないようにすれば、現在勤めている会社に迷惑はかけず、問題視される可能性は低いといえます。
つまり、
- 過労にならないように業務量をコントロールし心身の健康を保ち、本業の業務は確実なアウトプットを出す。
- 本業で知りえた情報の流出には最新の注意を払う。
- 本業の会社のブランド失墜につながるような行為は行わない。
- 本業の利益相反となる行為は行わない。
を常に心がけることが重要です。
つまり、会社に必要な人材であり続けながら、会社に迷惑をかけずに兼業を行うというように、うまくやりましょう。